白鳥空へ
一羽が長い首を上下にくねらせ、クェ・クェ・クェ・クェ・クェと啼きはじめます。すると近くにいた別な一羽が同じ
動作をはじめ、それがどんどん広まって、やがてクェ・クェ・クェ・クェ・クェの声がけたたましくなりました。何なの
だろうとぼんやり眺めていると、啼き交わしていた一群が急に湖面を滑走し、羽ばたいて空に飛び立ちました。さ
あ出かけるぞ、いいよ行こうか、という会話だったのですね。
数えてみたら飛び立ったのは13羽。他の鳥は何事もなかったようにゆうゆうと水に浮いています。気を付けて
見ていると、1羽がこの動作をはじめても誰も応じなければ、飛行に至らず静まります。リーダーの命令というよ
り、合議で行動するようです。小さくなっていく13羽は収穫後に餌がこぼれている畑に向かったのでしょうか。