網走郊外冬まじか
夜から朝にかけての気温は-5度を下回ることもあるし、昼のさなかでも浅い池や水溜りには氷が張っている
ので、もう冬が来ているのでしょう。でも暖かい車のなかで、散りぎわのカラマツが黄色に輝き、黒々とした土が
筋状に耕されているのを見ると、まだ晩秋という気分になります。冬を感じるのはやはりあたりが白くなってから
ですね。逆光を受けて透明感のあるススキが風に揺れているのは美しい、毎年この時季になるとそう思います。
いまあちこちの道路沿いで見られる風景です。
一枚目の写真で積み上げられ、一部にシートがかけられているのはビートでしょう。この前まで田園地帯で頻
繁にすれちがうトラックの積荷はほとんどタマネギでした。いまはビートが中心みたい。美幌の製糖工場の煙突
も、これから冬中煙を吐きつづけることでしょう。いまFTAやらFTAAPやら、貿易自由化促進が上げ潮の気配で
す。北海道経済の屋台骨を支えているのは農業。外国から安いビートや麦がいまよりもっと大量に入ってくるよ
うになれば、美幌の農家もきっと大打撃を受けます。町はますます貧しくなって、ただでさえ劣化が目立つ生活
道路など、荒れるままに放置されるのでしょうか。
「第二の開国」などという言葉も飛び交い、潮流に乗り遅れたらたいへんなことになるという雰囲気を作ろうとし
ている人々がいる、そんな気がします。日本は加工品の輸出で稼ぐしかないのだから、見返りとして国際競争力
のない農産物の輸入が増えるのはしかたがない、ということでしょう。しかし、10年後か20年後かは分りません
が、いずれ世界的な食糧不足が起きることは確かです。そのときあわてて荒廃した農地を再開発し、失われた
農民の知恵を回復しようとすれば、たいへんなコストがかかります。
古いイメージはノスタルジアでしかなくなっています。わたしたちの子や孫が生き抜くための、新しい総合的な近
未来ビジョン、それが待望されています。