青い海と白い船

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 能取湖が終わって見えてきた海はオホーツクブルーの空よりも濃い青。トンネルを抜けた先、灯台の沖では、
 
大きい船や小さい船が群れて漁をしています。狙いはタラでしょうか。波も航跡も船体も白く輝いていました。
 
 
 複数の抗生物質に耐性をもつ菌の出現が、医療現場の脅威になろうとしています。前回のNHK教育テレビ・サ
 
イエンスゼロのテーマがこの多剤耐性菌でした。戦前戦後の日本で猛威を振るった肺結核を治めたのは、スト
 
レプトマイシンなどの抗生物質でした。一つの抗菌剤に耐性をもつ病原菌が現れると、新しい抗生物質を開発し
 
て対抗する。そのサイクルで多くの病が克服されて、これまで平均寿命が延びてきました。ところがいま、ほとん
 
どすべての抗生物質を分解する酵素をもつ多剤耐性菌が現れ、すでにインドやヨーロッパなどに広がっていて、
 
その菌がついに日本でも見つかったのだそうです。それなのにいま、新抗菌剤開発から撤退する製薬会社が続
 
出していると語られていました。出尽くしてきて新しい発見の効率が悪くなり、更なる新開発は時間と費用がかか
 
るようになっているのに、抗生物質抗がん剤などとちがって短期間で投与が終わるので、ペイしないということ
 
が理由です。
 
 疫病をもたらす病原菌は文明によって世界に広がりました。家畜・家禽を飼育するようになって、動物の病原
 
菌がヒトに感染するように進化します。そして集住、特に都市の発達が急速に疫病を拡散します。遊動する狩猟
 
採集の段階にはなかった現象です。江戸時代、日本の人口が4千万人前後で安定し、国内自給による持続経
 
済が可能だったのは、周期的な飢饉と疫病が人口を調節していたから。コロンブス以後ヨーロッパ人が、アメリ
 
カの両大陸で先住民を短期間で制圧できたのは、鉄や銃の他に現地人に免疫のない病原菌を携えてきたか
 
ら。ヨーロッパでも例えば中世の黒死病で人口が半分以下に減少した国がありました。その結果生残った人々
 
にはある程度自然免疫力が獲得されています。
 
 文明は病原菌とヒトのシーソーゲームを加速します。抗生物質によってヒトがこの戦いで勝利したかのように
 
思われていました。しかしいま、エイズ新型インフル、そして多剤耐性菌など、シーソーが病原体の側に傾くフ
 
ェーズに入っているのかもしれません。