氷紋 石油減らせば会社は儲かる

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

 温暖化の危険が知れわたり、新聞に、「みんなで身の回りの小さな節約を心がけて、温暖化を防止しよ

う」、という類の投書がたびたび載るようになりました。読むたびにわたしは、なんかうさん臭い気がす

るんです。書いた人の善意を疑うわけじゃないんですよ。ただ一方で、どんどん買え、もっと買えって、

豪華なCMが流れています。そっちには文句言わないで、「わたしらが我慢すればいいんだよ、」みたい

なことを言われると、どうもねー。だいいち、寒くて暗い部屋は大きらいですから。暑いのはもっといや

ですけど。

 日経サイエンスの05年12月号に、A.B.ロビンスの「豊かな脱炭素社会へ」という論文が掲載され

ています。彼の論旨は、会社でも家庭でも、熱効率を上げてエネルギー消費を減らすと、経営や生活の水

準を下げることなく、大きなコスト削減ができる、というものです。石油消費を減らして最終的にゼロに

する行動が、会社の競争力や家の快適さを増すというのなら、わたしは大賛成です。たいていの人が賛成

するんじゃないですか。ただ、「そんなことできっこない、」って思い込んでる。A.B.ロビンスは具

体例を挙げて、「できるんだ」って主張してます。

 このところほとんど毎日晴れた日が続いて、外気は零下でも10時から4時ごろまで暖房を切っていま

す。それでも室内は最低でも20度、2・3日前には27度になって暑いくらいでした。埼玉の家では外

が零下だと室内で10度を下回ったと思います。断熱材を入れ、一応二重サッシで建ててもらったんです

よ。築年数は美幌のこの家と同。じゃあ、こっちでは建築費が高いのかと思って、不動産屋に聞いたら、

向こうと同じなんです。この家を埼玉にもっていったら、冬の暖房費を大幅に節約できるでしょうに。

 埼玉の建築屋は部屋ごとのエアコンを前提に設計してるんじゃないかな。わたしは山田空調のセントラ

ルヒーティングをつけました。その費用が300万円。7年で使い物にならなくなって、その後は各部屋

に合計7台のエアコンを入れました。こちらの家なら1台10万円程度の石油ストーブで一階全部暖めら

れる断熱性能ですから、設備費がずいぶん倹約できます。ロビンスは冬の外気が零下44度になるスノー

マスに、完全断熱住宅を建て、暖房設備のコストを切り詰めて、建築費を1100ドル節約した。その分

と4800ドルの追加で、水・給湯・電力節減設備をつけ、370平方メートルの家で、100ワット電

球1個分の電力しか購入せずにすんでいると、書いています。

 企業では、彼はデュポンについて、ここ10年で生産量を30%増やしながら、エネルギー消費を

7%、温暖化ガス排出を72%削減し、結局20億ドル以上節約できた、と言います。他にもたくさんの

企業の例を挙げています。電球から蛍光灯へ、発電所の廃熱利用、コ・ジェネレーション、待機電力のな

い回路、断熱設計、局地発電、流体パイプの太さのアップ、自動車車体の軽量化、屋根材の要らない太陽

電池など。これらを綜合的に取り入れた設計が普及すれば、飛躍的に省エネやエネルギーのクリーン化が

進むだけでなく、経済効率も向上し、生活水準が下がることはない。これが彼の主張です。

 いいことずくめじゃないですか。技術の面でもコストの面でもすでに十分実用性があるのに、遅遅とし

て改革が進まないのは、「できない」という思い込みの上で経済や政治が動いているからだと、彼は考え

ているようです。もしそうなら、「わたしらが我慢すれば」ではなく、「わたしらが我慢しなくていいよ

うなシステム設計を」が、大きな声になる必要があると思います。