今日から再開です

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 第一部
 ようやく交換モデムが届いたと思ったらそれでもダメで、結局回線のどこかに問題発生ということでした。どこなのか調べるには時間もコストもかかりすぎるということで、別契約で新しい回線をつなぐことになり、NTTの局内工事がついさっき完了したところです。今回は電気屋さんの担当者に何度もお世話になりました。
 
 先日美幌川の堤を散歩していたら、畑を焼く炎が見えて、煙の先で美幌峠に雲がかかっているのが見えました。川辺の水際にひときわ鮮やかなエゾナミキの花が咲いていました。
 
 第二部
    フィンランド・モデルは好きになれますか 26
4 福祉と経済
(1) 社会保障の経済効果
〔情報・サービス経済〕
 05年9月28日の世界経済フォーラムの発表によれば、世界117カ国・地域のなかで、中長期的な経済競争力世界第1位は、3年連続でフィンランドであった。ちなみに2位はアメリカ、3位と4位はそれぞれスウェーデンデンマーク。日本は12位である。()
 01年からの5年間では、02年にアメリカとフィンランドの順位が逆転した以外、1位と2位はいつも同じだった。日本は04年の9位が最高で、ほかの年は10位以内に入っていない。上位二カ国以外でベスト・テン常連国は、スウェーデンデンマークノルウェーの北欧三国に、シンガポールと台湾、それにスイスである。()
 けた外れの経済規模を誇るアメリカの主導権のもとで、グローバル化が進み、世界的に新自由主義経済思想の信奉者が増えた。日本は、自民党民主党も「小さな政府」の立場から民営化を推進する政策を採用した。国民にもばくぜんと、「公営事業体がのさばると経済活力が低下する、」という気分が広がっている。確かに、アメリカとアジアのベスト・テン常連二国は、民間自由競争を優先している。だが、フィンランドを含む北欧諸国は高度社会保障国家だ。その国々も経済的に好調なのである。社会保障には経済効果もある。民間自由競争至上の経済と、公的社会保障と競争が両立する経済の、どちらが長期的に見て効率的かは、まだ検証されていない。
 フィンランドは1980年代までに高度社会保障国家を実現していた。だが90年代前半、最大の貿易相手であったソ連邦の消滅とバブルの崩壊で、経済は大打撃をこうむり、失業率は17%に近づいた()。このとき、基本的には社会保障の水準を維持しながら、経済構造の転換を図る政策を採用し、いま世界一の経済競争力を獲得するに至った。
 Г農邵螳貮Г蓮80年代までの同国は紙パルプなど木材を中軸とする産業が中心だったとして、こう書いている。

  フィンランドなど北欧の産業の元気さの秘密は、かつての工業・ものづくりから、知識産業・「知  業」への産業構造の歴史的転換に成功したからであろう。知業とは、ソフトウェア、著作権、情報、デ ザイン、ブランド、特許、サービス、「体験」などの知的財産が主に付加価値を生み出す産業構造であ る。ノキアなどのIT産業は知業の典型である。(後略)

 川崎はさらに言う。特にフィンランド最北のラップランド県は、体験産業に力を入れている。たとえば、サンタクロースなどを活用したクリスマスの体験観光である。これにはIT、ニューメディア、娯楽、デザインなどの産業部門が協働している。体験産業は県の産業出荷量の6%、雇用の15%を占めている、と。
 わたしは、「知的財産が主に付加価値を生み出す産業」が主導する経済を、「情報・サービス経済」と呼び、モノの画一大量生産が主導する「産業経済」と区別する。教育費は無償で、老後も最低限の暮らしは保障されている。子育て・家庭教育には手厚い支援があって、介護・看護は社会化され、たいていの成人女性に勤労所得がある。だから、「将来のための蓄え」などあまり心配せずに、公的負担を控除された後の収入を、自分の楽しみに使うことができる。文化的・芸術的活動や娯楽・スポーツ・野外活動の需要が大きくなれば、そこに産業が生まれ就業機会が増える。高度社会保障が産業経済から情報・サービス経済への構造転換を可能にしたのである。社会保障が経済構造転換のインフラ(社会基盤)として機能した。
 (この項続く)