朝日に映える
建さん、初めのころはなんだかズルしているような後ろめたさがありました。こんなに自由でいいのだろうか、
と。その後、完全に仕事から解放されているからこそ、考えられること、感じられることもあるのだと発見しまし
た。ところでこちらにいらっしゃるのでしたら、よろしければわたしの好きな場所にご案内しますよ。
少し高くなった陽に映える霧氷です。似たような絵は前に見たよ、もう飽きてきたと言われるかもしれないなー。
でもわたしには歩くたびに新鮮なので。まあ、お付き合いください。まったく同じものだけは避けますから。
政治の現在と未来についての感想 1
政治家の腐敗や無能をあげつらった後に、「こんな政治家に投票した選挙民にも責任がある」と付け
加える評論を、新聞やテレビで見ることがあります。そのたびにわたしは腹が立って。清廉で有能な
候補者がいたのに、その人でなくダメなほうに投票したのなら、責められても仕方がありません。少な
くともわたしは国会議員選挙で、この人ならと思える人に投票する機会を与えられたことはありませ
ん。いつも目くそ鼻くそのどちらを選ぶか、みたいな。
身の回りの小さな場面では信頼できると感じる人もいます。でもそういう人は政治家になろうとはし
ません。たまたまその人が中央政界に進出できたとしても、清廉なままで、抜本的な改革の信念を一
切曲げないままで、有力な支援者のいる党や派閥のボスに対抗できる多数派になれるとは思えない
し。前首相の菅さんなんか、たいした金持ちではないような。共感できる政策もいくつかありましたよ。
その彼はけっきょくほとんど成果を挙げられないまま権力の座から追放されました。政財官界、マスコ
ミ、学会などの有力な既成勢力の大勢が、よってたかって彼の足を引っ張ったのでしょう。オバマさん
た成果を挙げられないから、以前の支持者からも見捨てられたりして。
現代の代議制民主主義のシステムをどうにかしなければならないところにきているのだと思いま
す。だれかすぐれた政治家が現れ、その人を当選させればなんとかなるというのは幻想だと、早くみ
んなが気づいたほうがいいのではないでしょうか。橋下人気なんかその幻想の結果ですよね。そうは
言っても、単純な直接民主主義の拡大や「熟議民主主義」でもうまくいかないのではないかと、このと
ころ考えています。国民や世界市民の意思を統合してなにかやる「公的な領域」と、自分の欲望や個
人的な価値観で日々をくらす「私的な領域」。その乖離をどう克服するかという課題なのではないか、
と。そんな問題意識で、今後何回か書いてみたいと思います。(2012・1・11)