きらめく枯れ木立
murutiさん、向こうの霧氷は透明できれいだね。あそこまで行ってみようか、そんな話をしながら-17度の
土手をごいっしょに歩く。と、突然脇の木立からオジロワシが飛び立つ。そんな想像をするだけでうれしくなり
ます。
河原の枯枝に着いた細かな氷が、まだ低い太陽にキラキラキラキラよく輝くのは、美幌川から土手を越えたと
ころにずっと畑が広がっている場所です。堤に立つわたしの目には、明るいうす桃色の茂みに無数の豆電球を
点灯させたような光景が写っていました。でも写真では、木立を実際の明るさで表現すると豆電球が消えてしま
います。しかたがないので、背景を暗くして輝きを強調しました。いつの日かヒトの脳がしているように、明度のち
がう二つのものをうまく調和させて、一つの画面として認知させる人工知能を組み込んだカメラができるのでしょ
うか。もしかするとカメラの性能が低くてわたしのウデが悪いだけで、今でもプロのカメラマンならそういう写真を
撮れるのかな。あと、写真ではきらきらの一つ一つがとても小さく見え、現場の印象とのちがいに驚きます。
太陽が山際を離れて30分ほど後から1時間くらいでしょうか。きらめきと、うすく色づいた霧氷と、白い雪原の、
幻想的な世界を現れるのは。そんな川岸をたどって、冷たさも忘れて手袋を脱いだ手で夢中になってシャッター
を押していると、この地で冬を過ごす幸せを感じます。だから写真を見た人に、寒むそうとか言われると、ちょっと
違和感があります。小学校から高校卒業まで、すっぽり雪にうずもれて出歩くこともできない山間で冬を過ごした
記憶があるので、こちらの明るい冬はとても快適に感じられます。でも、吹雪の日でも勤めに出なければならな
い人は、そんなのんきなことは言えないでしょうね。きっと、晴れた日に気分が乗ったときだけちょつと出歩く、気
楽な身分だからかも。