枯草に白い花
建さん、関東では12月に入ってもゴルフ場や公園に紅葉が残っていたのですね。お写真の印象はこちらの10
月みたいです。
オオウバユリとかセイタカアワダチソウとか、背の高い枯れ草に積もった雪は、白い花を思わせます。と言って
も、形は花より綿や産みたてのカマキリの卵が包まれた泡に近いかな。細い枝が広がる川筋近くの枯草は、雪
ではなく霧氷で飾られます。ある程度の太さがないと綿帽子の重みを支えられないのでしょうね。
タイの大洪水に続いて、フィリピンでも台風で大きな被害が出ているようです。気候温暖化の影響は、人と経済
にダメージを与える気象災害発生の頻度が高くなるという形で現れています。世界中に突如カタストロフィーをも
たらすわけではないから、国際社会で一挙に危機意識が高まることはありません。ヒトに適した環境がじわりじ
わり悪化し、みんなが気がついたときには回復可能な一線を突破しているというふうに事態は進むのでしょう。
フクシマとまだ3回で、しかも間隔が開いています。核兵器が使われる戦争やテロは広島・長崎以後起きていま
せん。大気・海洋・土壌の放射能汚染が蓄積されて、やがてヒトの存続が危うくなるという可能性も、多くの人にと
ってそれほど切迫感はありません。
国際的に、そして各国内でも、貧富の格差が拡大しています。被害者意識と憎悪が「敵」を求めて荒れ狂い、
社会の統合がずたずたに引き裂かれる方向がほの見えてきています。しかし、国の威信を競ったり経済成長を
図ったりすることほどには、緊急性がないという認識のほうが優勢です。
温暖化や核や格差を嘆いても、老い先短いわが身にできることはないと、わたしの意欲は萎えるだけです。ま
あ、老人性の欝だと笑ってください。それでも食べるものはおいしいし、季節の変化を追いかけるのは楽しいし、
私的な生活はエンジョイしているのだから、われながらいい気なものですね。