森の実り

 まりさん、連日ブロッコリーをたくさん食べ続けていますが、お腹の調子は変わりませんよ。もうすぐご帰国で
 
すね。きっと九州は暖かく感じられるでしょう。
 
 
 サイタマンさん、万古不伐の原生林は朽ち木、倒木、倒木更新などが入り乱れ、荒れているような感じもありま
 
す。いにしえ人が集まり住んだ森では、倒木は竪穴住居の建材や丸木舟に加工され、枯れ草・枯枝は炉で焚か
 
れ、実のなる樹や食べられる草は大事にされ、現代の里山をすこしワイルドにした雰囲気だったのではないか
 
と、わたしは想像しました。常呂遺跡の森を歩くとそんな感慨を誘われます。
 
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 写真一枚目はヒロハツリバナの、二、三枚目はオオツリバナの実のようです。人の食べ物ではなかったかもし
 
れませんが、鳥や獣を養ったかな。鳥獣はいにしえ人のたんぱく資源でした。世界的に、狩猟民とされている部
 
族でも、デンプン質がカロリー源の中心だったのに、北海道の縄文人やその後継者は動物性たんぱく質が主体
 
という、数少ないケースに該当するとか。発掘遺体の虫歯の頻度から、考古学者はそんな推定をしています。
 
 四、五枚目の写真のようなおびただしい数の堅果類が見られました。縄文人は世界で最も早く土器を作った民
 
族の一つです。堅果類のアク抜き、加熱調理の技術が進歩し、くらしの向上に役立ったでしょう。四枚目には古く
 
て朽ちかけている実もたくさん写っています。かっては新しい実が落ちるのを待ちかねて拾い集め、加工したり保
 
存したりしたと思います。住居の周りに大量の朽ちた実が残されることはなかったでしょうね。
 
 秋に常呂遺跡の森を歩くと、いたるところで高木の梢近くまで繁茂しているヤマブドウを目にします。わたしも一
 
粒つまんで口に入れました。懐かしい味です。甘みの乏しい時代には子どもたちをさぞ喜ばせたことでしょう。発
 
酵させてお酒にしたかどうかは分りませんが、果汁を絞って飲むことはあったでしょうね。