鳥とヨットと網走湖

　舗装道路から逸れて湖畔に車を乗り入れたとき、水面をすばやく動く黒いものが眼の隅を横切りまし

た。何なのか確かめようと砂浜に立ったときにはもう姿がありません。しばらく待つことにしてカメラを

構えた先でちょこまか動く小鳥がいます。ゴジュウカラみたいです。やがて岸から５０メートルほどの湖

面に首の先が見えて、すぐに水中に潜ります。カワウかヒメウでしょう。カワウは本州では数が減ってい

る鳥ですが、最近北海道で増えているという話を聞いたことがあります。漁業資源を荒らすので歓迎され

ていないのだそうです。

　漁船の傍らをすり抜けたヨットから声が聞こえてきます。どこかの大学サークルが操船の練習をしてい

るようです。近くの浜にヨットを納める小屋があって、大学名が書かれていたと思いますが、その文字の

記憶はあいまいです。

　近くにいた若い男女に、｢ここは網走湖ですよね｣と問われました。そうだと答えるとさらに、｢女満別

湖はどこにあるのですか｣と。｢女満別湖畔｣という呼び名を、女満別湖の畔と思ったようです。呼人湖畔

も女満別湖畔も、それぞれの地区名を冠した網走湖の岸だと説明しました。初めて女満別湖畔の名を見た

人が誤解するのも無理ないですよね。