五月の散歩道

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 魚無川沿い散策路のベスト・シーズンは五月かな。駐車場のある入り口から国道下のトンネルをくぐれ

ば、桜とエゾムラサキツツジの並木です。桜の薄紅色はせいぜい1週間ですが、ツツジの紫は一月近く続

きます。4月末のどか雪で咲き出したばかりの花がしおれて心配しました。でもたくましく次の蕾を開い

ています。数少ない白いツツジもアクセント。前に紹介したタンポポは、緑濃くなった土手の草叢で数を

増し、黄色がいっそう鮮やかです。

 並木を終わると崖下に広がる林にさしかかります。ここでは、アオイスミレ、エゾエンゴサク、ニリン

ソウなどが主役を交代しながら林床を彩ります。木々に若葉が茂る前に急いで葉を伸ばす下草の緑が鮮烈

です。光を受けるとオオウバユリの枯れた莢(さや)さえ輝きます。フッキソウ(富貴草)の目立たない花

は、エンゴサクの前に始まって、木々の葉に光を遮られてからも咲き続けます。

 春夏秋それぞれにさまざまな草や花があります。そのなかでわたしには春浅い野山のものが一番心に沁

みます。長い冬を耐えた命の息吹はけなげ。よちよち歩きの幼い子を見守る気持ちと似ています。夏の植

物は猛々しさがあります。秋の花に潜む滅びの気配に風情はあっても、侘びさびはわたしの趣味ではあり

ません。