薄明のシカ尻白く

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 せめて西の草叢にいればもっとましなのに、知床を背にした逆光です。日の出前の薄明ですから、ISO

を1600にしてストロボを使ってもここまで。肉眼では色までもっとはっきりわかるのに、写っている

のは光る目と白い尻、あとはシルエットだけです。わたしのカメラでは限界です。灯台から戻るときには

もっと明るくなっていましたが、もう林の奥に隠れて姿は見えませんでした。

 前回よりは小さな群でした。それでも15・6頭はいたでしょうか。このあたりは岬牧場の柵の外です

から、食害が問題になることはなさそうです。でもキツネは網走市で駆除の対象になっています。市街地

の家庭菜園が荒らされて、駆除要請が増えているのだそうです。わたしもこの日、田園地帯の国道を横切

るキツネを何度か、ヘッドライトの光のなかに捉えました。住宅地などに糞を残されたりすると、作物の

手入れをしたり収穫物を食べたりするとき、エキノコックスに感染する恐れもあるとか。

 シカもキツネも観光客には楽しみですが、地元住民は手放しで歓迎とはいかないようです。わたしは野

にいる彼らを見ているのが好きですので(クマには出会いたくないですけど)、複雑な気持ちです。大都会

には動物園以外彼らに居場所がありません。せめて北海道の山野くらいは、ヒトと棲み分けられるような

工夫できたらいいのに。最大の天敵であった狼の絶滅以後、食物連鎖で大型野生動物の個体数を適正規模

に保つ自然なメカニズムが働かなくなりました。人間が考えるしかありません。自然な生物相が貧しくな

るのを心配するのは、目の前のくらし以外のことを考えるゆとりができてから、ということになるのでし

ょうか。温暖化対策と同じように、手遅れになってから、ね。