湖畔の春は浅く

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 道路から水辺までの雪や、枯れた葦の根元から沖まで覆う氷は、まだ冬の景色です。それでも乾いた路

面、たたずんだり飛び交ったりする青サギの数、手袋なしでカメラをもつ手は春の気配を告げています。

火曜日の網走湖女満別湖畔です。


 このところ今年の芥川賞作家・津村記久子の脱力系小説にハマッています。作品世界は脱力系だけれ

ど、書いているときはそれなりにテンションを上げ、計算していると思います。マジな気持ちではマジな

ことしか書けないわが身を思うと、やはりエライ、賞も当然です。

 最近の芥川・直木両賞作品の大半をわたしは読み通す気になりません。たしかにウマイ。だけど価値観

のどこかに違和感があって、嫌気がさしてしまいます。津村作品は脱力文体で「価値観」を隠しているから

おもしろい。ダメ人間みたいな主人公のとりとめない心の動きを、だらしなく綴っているところに、なん

となく親しみを感じて共感してしまいます。

 最近はだいたい女性作家のほうが一般に文章表現に巧みだという気がします。マラソンで国内上位男女

各300人を選んで記録を比べれば、100位以下では女性の割合が増えるが、10位以内はほとんど男

性(だと思う)というのと、同じ程度の意味ですけど。テーマの深さや構想の大きさなどを捨象して、頁単

位で文章を味わうなら女性作家のほうがたいてい優れている、そう思います。

 若いときはテーマや構想で読む作品を選んでいました。最近は細部を舐めるゆとりがあります。そうな

ってから、価値観で自分の好みから外れる作品より、文章が楽しい女性作家の小説を手にする頻度が大き

くなりました。