丹頂群れる

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 網走地方は観測史上2番目の暖冬なんですって。地面の凍結が浅いと、例年なら冬の間に死ぬ害虫・病

原菌が生き残って、農作物に影響することがあると、フリペに書かれていました。今日の気温は9時以降

ずっとプラスの予報です。


 半醒の夢のあわいに浮かんだよしなしごとを書き留めてみた。

 人の生涯に比べれば羽化したカゲロウの命ははかない。プレートが浮かんで沈み大陸が結んで解ける、

その地球時間を基準にすれば、誕生と死に挟まれた個人の時間も刹那。刹那を積み重ね、個人は種の遺伝

子プールの多様性に貢献して次々に去る。多様性の劣化は種が滅ぶ前兆。子をなさなければ、ヒト遺伝子

多様性に寄与できない。いや、子孫を残さず滅ぶことで、環境に適応しない遺伝子を減らす貢献をしてい

るとも言えるか。どちらにしても、遺伝的進化は個体の滅びを介しての環境への適応である。競争的で冷

酷な過程だ。ここまではどの生物にも共通。自然だからと、人の社会で遺伝子淘汰を推進しようとすれ

ば、ナチス優生政策のような反文明思想に行き着く。

 ヒトに特徴的なのは、社会進化の道に入ったこと。技術と協働を革新し、環境との応答を変化させる。

変異と淘汰による遺伝子進化は、滅びと生き継ぎを長く重ねて実現するから、たいていの大型動物では1

0万年ほどもかかる。社会進化は数世代あるいは一代の間にも進む。高度な言語をもったことで社会進化

が加速した。ことばは人の精神を豊かにする。自然経済を離陸し、農業経済、産業経済を経て情報経済に

至り、精神という資源の重要性が際立ってきた。労働生産性が低いとき、自然淘汰にも似た冷酷な競争も

必要悪だったか。効率の向上で情報化が始まり、精神の豊かさが更なる進化の主な推進力になった。

 それは、やさしさや思いやりであったり、好奇心・冒険心・勇気であったり、慎重に遠くまで見通す知

恵であったり、多彩な美や習俗であったり、確かな思想・理論や技術・制度であったりするだろう。ヒト

遺伝子プールへの寄与とちがって、人に生まれさえすれば、どんなに短命であってもどんなに凡庸であっ

ても、精神という資源にはだれでも何かしら寄与できる。そのことに自信をもって死ぬことができれば幸

せだ。その点では、万人が平等である。生活苦と病苦、戦乱と犯罪、突然の自然災害は、個人の寄与も満

足も損なう。社会制度や政治の要諦はそれらの不幸を最小化すること。