紅葉のチミケップ湖畔

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 先月11日、チミケップ湖畔は紅葉の盛りでした。ちょうど1週間後にもう一度行った人が、枯葉と落

ち葉になっていたと言っていました。はかない華やぎです。でも時期さえ合わせることができればその瞬

間は、阿寒・オンネトーや層雲峡などの名所に劣らない満足が味わえます。チミケップと言っても、道外

の人はあまり知らないでしょう。そんな場所があちこちにあります。


 アメリカ発の世界的金融危機で、アイスランドが国家経済破綻の瀬戸際に立たされています。人口わず

か30万人の小国ですが、原ゲルマン人につながる伝承文学を保存し、ゲルマン的古代民主制の遺風を残

す国として、わたしが大きな関心を寄せた国です。またこの国は化石燃料消費ゼロ、火山と水素燃料を中

心とする新エネルギーへの転換で、世界の最先端を走っていました。漁業が重要な産業の、つつましい国

でした。

 最近になって、EUに加盟せず金融規制を急進的に緩和する政策を採用しました。短期間のうちに、高

金利を目当てにヨーロッパなどから広範囲の投機資金が集まり、豊富な資金を国外に投資して稼ぐ金融

大国にのし上がりました。そこへ今回の金融危機です。国外各地に投資した資金の回収がおぼつかなくな

り、大きなリターンを期待できる投資市場はもうありません。そうなればフィンランド通貨は紙くずに近

くなります。もともと実体経済の規模が小さい国ですから、破綻する銀行にあった国外者預金の国家保護

も期待できません。こうして今この国は、国家破綻が危惧される羽目になりました。国民の預金は辛うじ

て封鎖を回避できても、引き出した通貨の価値は大幅に下落しています。自慢だった高福祉も形だけのも

のになるでしょう。国民にのしかかる生活苦を思うと、心が痛みます。

 国内のバランスの取れた需給拡大につながるものであれば、国外資金導入も促進すべきです。しかし今

回、実体経済と関係ないところで金融工学が産み出すかりそめの高リターンや、諸国間の利率格差・為替

変動で短期に得られる利益を目的として踊る、国内外の巨額な投機資金がいかに危険かを、世界中が思い

知ることになりました。政府は政府、民衆は政治の埒外でたくましく生き抜く、と言っていられたのは過

去のこと。アイスランドは、政策判断の誤りがどんなに国民を苦しめるかを示す、典型的な実例になって

しまいました。わたしたちはこの国の悲劇を他山の石として活用できるのでしょうか。

 わたしが注目している北欧のもうひとつの国、フィンランドの経済は今どうなっているのか、気になり

ます。