で野や山を歩いていたときには気づきませんでした。わたしのなかではハマナスとともに北海道の夏を代
表している印象です。
フウロソウ科にはゲンノショウコなどもあって、葉も花の形も今日の写真に似たところがあります。で
もなんとなく地味です。2,3センチほどでピンク色のエゾフウロの花は、派手ではないけれど緑のなか
にたくさん散らばっているとそれなりに趣があります。顔を近づけて覗き込んだ一輪はなかなか魅力的で
す。距離を置いて見るとハマフウロ、エゾグンナイフウロ、エゾフウロはほとんど区別できません。最も
多く見るのはエゾフウロ。チシマフウロは色は少し青味がかっているでしょうか。トカチフウロは色が淡
いのでわりあい見分けやすいように思います。
初めの4枚は6月下旬にワッカ原生花園で撮りました。最後の一枚は今月16日の同じ場所ですが、ま
だ衰えていません。これからもしばらくは咲き続けそうな勢いでした。
新聞の投書欄を眺めていると、日本人は国家統制が好きな国民なのかなーと、つくづくいやな気分にな
ります。少年の殺傷事件が報じられれば使われたダガー・ナイフの規制を、ネットの「有害」情報が話題
になると情報規制を、タクシー運転手の収入低下が問題にされると増車規制を、トラックの事故があると
スピード規制を求める投書が載って、タバコの健康被害がやかましくなると1箱1000円にしろという
主張が出てきます。政府はこれらの「世論」をこれ幸いと、さっそく法改正や税収増加に利用します。実
際ダガー・ナイフ禁止も、ネット情報の制限も、タクシー増車規制も、スピード・リミッターも制度化さ
れています。タバコも1000円はともかく、かなりの値上げが行われそうです。
統制強化は公権力を肥大させて私的領域を狭めるだけで、根本の問題から人びとの目を逸らす結果にな
ります。少年の閉塞感がつのる環境の改善、ユーザーが的確に「有害」性を判断して自衛する情報社会の
成熟、ドライバーの地位安定とサービスの工夫を競って不適格業者が淘汰されるタクシー業界のイノベー
ション、下請け孫請け個人営業のトラック野郎にどんどんつけを回すことができる運輸業界の構造改革、
青年期にタバコを宣伝して深い依存に追い込んだ国家の責任追求など、社会や公的部門が本当に取り組む
べき問題がすべて隠されてしまいます。経済・政治の国家指導者には本当に都合がいい国ですね。だから
この国では無能な既成指導者が生き延び、国家社会のイノベーションは進みません。