津別のクリンソウ

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 お隣の津別町に、6月後半からクリンソウの大群落が小川沿いをピンクに染め上げる森があります。町

民の森自然公園と名づけられていて、散策用の歩道が縦横に設けられたけっこう深い森です。冒頭の写真

は21日のものです。葉を見ると桜草によく似ています。花の感じからしてもごく近い種なのでしょう。


〔新しい文明の姿を考える 〕


(10) 経営管理の新しい試み(後)

 同書第四章で扱われているのは、新鮮で環境にやさしい自然食品を割り増し価格で販売しているホール

フーズです。194店舗を展開し、年間売り上げは60億ドルほどで、店舗1平方フィートあたりの利益

アメリカ食品小売業で最大です。1992年から15年間の株価上昇率は3000%近くになりまし

た。

 この会社では、組織の基本単位が店舗ではなく、一店舗8つほどのチームです。この小組織が、価格設

定、発注、人員配置、店舗内昇進など、業務上の重要な決定のすべてに責任をもちます。品揃えに本社幹

部は関与せず、基準を満たす商品を地元から店舗の判断で仕入れるので、商品構成は各店ごとにちがいま

す。

 本社もITや財務などのチームに分かれています。どのチームでも、社員はメンバーの三分の二以上の

賛成で採用が決まります。チームは労働生産性によって評価され、4週間ごとに、作業時間あたりの利益

が一定の水準を超えたチームにはボーナスが支給されます。そのデータも全店員の報酬も公開されている

ので、給与の不合理な決定はできません。各店舗の売り上げ、チームの売り上げ、商品原価、利益、それ

に業務や財務のデータの多くにも、全社員がアクセスできます。著者は、ピア(仲間)のプレッシャーが官

僚主義の代わりに会社の規律を保つ役割をしていると、考えています。

 平均的なフォーチュン500社では、最も高い幹部の給与は全社平均の400倍なのに、ホールフーズ

では19倍以下です。ほとんどの企業ではストックオプションの75%が5人以下の幹部に配分されるの

に、この会社では93%が経営権のない社員に与えられています。

 ピア・プレッシャーとともに、この会社の秩序維持に役立っているのが、目的意識の共有ではないかと

思われます。食品供給の工業化の流れに反対して、一部のマニアックな人だけでなく、一般消費者に環境

と健康に害のない自然食品を豊富な品揃えで提供するという自分たちの役割を、全社員が誇りにしている

ようです。06年には、同社の消費電力すべてを賄える量のエネルギーを風力発電所から購入しました。

 第六章で紹介されているのは、検索ソフトでおなじみのグーグルです。マイクロソフト社では、ウイン

ドウズ・ビスタ開発に一時期4000人の社員がかかわっていました。グーグルは大人数がひとつの課題

に集中して、組織的に分業する方法は取りません。この会社はいくつもの小規模チームが緩やかに連携し

て多面的に開発に取り組みます。情報の流れは縦より横が中心です。全員が自由に書き込める「雑多リス

ト」やMOMAという社内ネットで、アイディア、データ、企画の進行状態、支援要請などが交換されま

す。メンバーは相手の必要と自分の興味で、人事部の関与なしにチームを移ることができます。決定は、

上からの命令や管理ではなく、すべての利害関係者の直接協議による結論です。地位によって発言の重み

にちがいが生じることはなく、協議の場を見ている外部の人は、発言者の地位や誰がまとめ役かを判断す

ることができないそうです。

 エンジニアリング資源投入では、70-20-10が原則です。コアビジネスに70、20をその周辺

サービスに、10をよりコアビジネスから遠い分野に費やす方針です。社員は20%の時間をほとんど監

督されずに個人的な関心に使うことができます。ボーナスが基本給の30~60%で、利益につながるア

イディアを提供できればさらにその割合が大きくなります。

 これまでの3社以外にも、常識はずれな経営管理を採用している会社がいくつか紹介されています。な

かでもセムコは変わっています(P.181~184)。すべての社員、たとえ組み立てラインの作業員で

も、働く時間や量を本人が選ぶことができます。給与も、他社や自社のデータを与えられて、自分で決め

ている社員が多いそうです。法外な額を求めれば、それに見合う貢献が期待されます。

 組織図、事業計画、目標、長期予算などは何もなく、ミーティグは自由参加で、テーマに関心をもつ者

だけが集まります。当然管理職の仕事はほとんどありません。透明な情報流通と仲間の目のなかで、社員

が自分で自分の労働生活を管理するのです。新社長が上級管理職の三分の二を解雇してこのシステムを始

めてから、会社は90人だった社員が3000人を超えるまでに成長しました。(続く)