きます。かがみこんでクローズアップを狙っていると、小さな黄色い花が目に入りました。シコタンキン
ポウゲのようです。そこから車道に戻って灯台脇の駐車場からの小道をたどると、オオバナノエンレイソ
ウが潮風に揺れています。ちょうど白い船が通りかかりました。湯沸岬から北に向かってシャッターを切
った一枚には、浜中湾の対岸が写っていました。ときどき肉眼では気がつかなかった遠景を、カメラが捉
えていることがあります。
小道近くの岩に肩から上が真っ白な大型の鳥が止まって、じっと辺りをうかがっていました。カメラを
構えたのですが遠すぎます。大きなカモメががいるものだとしか思わず、望遠に付け替えるのが面倒でそ
のまま通り過ぎました。後でせわしないカモメにしては落ち着いていた、何かちがう鳥かなという気持ち
が残りました。
宿のご主人は環境庁から委託されて、野鳥の保護観察の仕事をしています。半島の海に浮かぶ小島にエ
トピリカの営巣地があるそうです。話のなかで、このあたりではカモメを餌にオジロワシが通年住み着い
ていて、夏鳥は首から上が真っ白だと聞きました。彼が言うには、カモメの営巣地のあるアゼチ岬で見ら
れるので、湯沸岬の方にはいないだろうということでした。不精しないで望遠で撮っておけば確かめられ
たのに、残念なことです。ここにオジロがいることも、夏は半身全体が白くなることも知りませんでし
た。情報を十分に集めて出かけないと損しますね。いつかオジロの夏姿をじっくり見たいものです。