名人の花  民主党は低負担高福祉 ?

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

 花つくりの上手な奥さんの庭で14日に撮った写真の続きです。


 明日は2時起きで、前の家の人と一緒に大雪山に出かけます。テントで一夜を明かす予定ですので、ブ

ログはお休み。あさっての書き込みは夕方かな。高山の花と雄大な風景の写真を楽しみにしていてくださ

い。晴れれば、ですけど。


民主党は低負担高福祉 ?〕
 
 民主党のホームページから「2007政策リスト300」へ行くと、顔写真を多用した自民党のものと

は対称的に、46頁(23枚)が細かい字でびっしり埋められている。時代認識がきちんと書き込まれてい

て、ムカシニンゲンの懐古的精神主義はあまり感じられない。状況判断はおおむね妥当なのではないか。

個別政策の、書かれている部分には、反対なら対案を示して論争できそうな具体性がある。ただ、これが

党全体で合意されているのかどうか、疑問が残る。同党の代議士などの、この文書に反する、自民党と同

趣旨の発言や行動がしばしば報道されているから。もう一つ、選挙民の反発を恐れて書かれていないこと

があるような気がする。前置きはこれだけにして、ここからは個別政策の中身に言及する。わたしの知識

が乏しくて判断を留保しなければならないところも多かった。関心ある項目のすべてに言及すると長くな

りすぎるので、いくつか選び、ごく簡単にコメントしてみる。

 政治家や役人に対する庶民の不信は深い。長年政権にあった自民党とのちがいを訴えるには、まず「お

上」への不信を拭わなければ。「だれがやっても同じ」と思われたら、変革を託してもらえない。政治と行

政の透明化について、力を入れて書かれている。官僚の早期退職勧奨や中央官庁による再就職斡旋を禁じ

る。退職役人に現役への働きかけをさせない。特殊法人独立行政法人は原則的には廃止する。国の役割

は大幅に限定し、権限と財源の多くを地方の自治に委ねる。政治と行政の関係を整理して、責任の所在を

明確にする。役人の外部登用を拡大するため、中途採用・任期つき採用・政治任用などをおこなう。政

党・政治団体収支の外部監査を義務づける。迂回献金を禁止し企業団体からの献金を制限する。国会議員

定数を1割削減する。独立性の高い通信・放送委員会を設立する。他にもたくさんの提案がある。すべて

が完全に実施されれば、「公」に対する庶民の見方が変わるかもしれない。国と地方の関係を「上下・主従」

から「対等・協力」に変えようという提案などには、根強い序列秩序に切り込む意欲が感じられる。

 多国籍軍によるイラクへの武力行使の正当性否定、派遣された自衛隊の即時撤退、日米地位協定改定な

どの主張も、変化を感じさせる。だが、国連常任理事国入り、ミサイル防衛の継続、(武力による-筆者)

国連平和活動への積極的参加、などには、賛成しかねる。近代憲法は、主権者が公権力行使を制限する根

本規範であり、時の内閣が目指す社会像や重視する伝統的価値をうたい、国民に道徳や義務を課すための

規範ではないと、正当に指摘している。だが、9条について明確な言及はない。そもそも防衛予算の削減

や、主要任務を災害救助とする自衛隊への改組の主張はない。この党には、自民党右派と同じく、靖国

社参拝を続け、公認の軍隊と集団的自衛権を望む議員もいるので、警戒が必要だ。

 書かれている部分には、新しい時代の趨勢を取り入れたり、高福祉(この言葉は使っていないが)につな

げたりしたいという提案が多い。認定特活法人(寄付が税控除されるNPO-筆者)の認定条件大幅緩和と寄

付金控除の拡大、被災者の住宅本体への支援金支給、税の削減と増加の組み合わせによる環境保全の誘

導、環境税排出権取引の制度化、年金・福祉に対する国家支出の飛躍的拡大、医学部定員の増加、女性

医師・看護師の環境整備、国保保険料の地域格差是正、高齢者医療費の自己負担率低減、教育に対する国

家負担増額、学生の生活費まで及ぶ奨学金制度の拡充、キャリアーアップのための社会人奨学金制度整

備、最低賃銀の全国平均を1000円に、正規雇用・非正規雇用の同一待遇と同一労働同一賃金の実現、

政府系金融機関の個人保証撤廃、選択的夫婦別姓婚外子の相続差別廃止などなど、わたしの主張と重な

る項目の数は少なくない。

 だが、武力の保持・行使以外にも、反対したい提案もある。すでにだいぶ長くなっているので、一つだ

けわたしの異論を述べる。中央政府の役人を減らす、いわゆる「小さな政府」路線についてだ。この政策

書で掲げる改革を強力に推し進めるには、地方政府だけでなく中央にも、有能で誠実な役人がたくさん必

要だと思う。「小さな政府」と高度社会保障は両立しない。選挙民の反発を恐れてだろうが、改革の財源

としての増税を封印してしまったから、国家財政縮小しか言えなくなる。

 ほんとうに高福祉を実現するつもりなら、国民にこう問いかけるべきだ。出産・子育てと教育の費用、

傷病・失業時の生活と再就職準備、高齢者の生活と介護、医療費などは、中央と地方の政府が責任をもっ

て設計・保障します。その代わり、中位以上の収入がある人を中心に、平均で個人収入の半分あるいは6

割(ちなみに05年の国民負担は財政赤字を加えると約45%)を、社会的相互扶助のために負担してくだ

さい。生活必需品以外の消費税、高額財産の相続税、それに所得税の累進率は上がります。しかし、いざ

というときでも健康で文化的な最低限の生活はだいじょうぶですから、公的負担以外の所得は、日々のく

らしをあなた好みで楽しむために使えます。あなたはこういう社会に賛成ですか反対ですか、と。

 いまの世界に低負担高福祉を永続的に維持できる国はない。経済先進国はそのつもりになれば高負担高

福祉なら実現できる。低負担低福祉のアメリカ的路線を選ばなければ、残る選択肢は北欧型の高負担高福

祉だ。安倍首相の下で自民党の政権が続けば、高負担低福祉になる可能性が大きい。集団自衛権容認の

憲法解釈変更」で、改憲を待たずに9条を無意味なものに変えようとしている。福祉が削減され軍事支

出が拡大されることになるだろう。中流以下の国民の大多数は、高負担低福祉を望まない。いまは民主党

に政権を預けてみるべきかもしれない。福祉にかかわるこの党の政策提言は緻密で詳細にわたっている。

国民がその一つ一つの約束の履行を求め続ければ、高負担高福祉か低負担低福祉か、どちらかの路線を明

示しなければならなくなる。そのとき、この党とともに、国民も決断しなければならない。