野菜の花 自民党のホンネは高負担低福祉?

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 ジャガイモとエンドウマメの花です。ウチの庭の2箇所で、ジャガイモが育っています。植えたわけで

はないのですが、去年堀り残したものと肥料にしたコンポストの中身から芽を出したようです。エンドウ

マメは裏の家で作っています。


自民党のホンネは高負担低福祉? 〕

 自民党のホームページにある「成長を実感に ! 」と題した「政策パンフレット」で、「155の約

束」を開くと、19頁のうち6頁は安倍首相のクローズアップ12点に使われている。1頁はスローガンであ

る。文章中心の12頁すべての下段には、合計126枚の彼の小さな写真が配されている。パンフは、「美

しい国の礎を築く」「美しい社会と暮らしのために」「美しい郷土をつくる」「美しい国、日本の指針を

世界に示す」の、4つに分けられている。全体を通して、具体性がなく情緒的で精神主義的な表現が多用

されている。

 最初に憲法を扱うが、たった2行で、どこをどう変えるかはまったく言及されず、結論は「新憲法制定

推進の国民運動を展開する」である。教育関連項目に見られる、「メリハリのある教員給与体系」は、教

育現場に格差と序列秩序を強化する意図のあいまい表現か。「「早寝早起き朝ごはん」運動」は、家族へ

の干渉を強化する意図 ? 「子供たちに「確かな学力」を約束するとともに、規範や礼儀を教える」は、0

ECDの教育部門が推奨し、フィンランドで実施されて効果をあげている、学習者中心の学力観・教育観に

背を向けて、知識暗記偏重・価値観強制の旧い教育を続けるという宣言のようだ。

 「「もったいない」の精神を活かし」、「子どもと家族を応援する日本」、「子どもを持つこと、育て

ること自体に喜びや大きな価値を感じることができる社会」、「「ふるさと」はわれわれの心の中にあ

り」、「パブリック・マインドや地域社会の連帯」、「美しい森林(もり)づくり」、などは、個人として

だれかに語りかける表現ならかまわない。だが公党、しかも政策を実施できる立場の政権党として、国民

に提示する政策表現にはなじまない。わたしたちは、法律によってどのような制度を作り、何にどれだけ

公費を投じ、その財源をどのように確保するつもりかを聞きたいのだ。

 155項目を通読してみて、欠落なくすべてに言及しましたという、羅列的・総花的なものを感じるだけ

で、彼らが目指す国家の具体的なビジョンは少しも浮かび上がらない。各項目の記述が、「展開する」

「実現する」「整備する」「進める」「図る」「目指す」「推進する」「取り組む」「努める」「強化す

る」などで終わる。政権党なのだから、口当たりのいい努力目標を羅列するのではなく、どこがこれまで

通りで、どこが変わるのか、変える目的は何なのかをはっきり示して、国民に信を問うべきではないの

か。

 どうやらこの党は、グランド・ビジョンとそれを実現する具体策を、国民に明示するつもりはないよう

だ。消費税値上げの意図は、「あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む税体

系の抜本的改革を実現する」のような、あいまい表現に紛れ込ませる。党の大スポンサーである経団連

望む残業規制非対象者の拡大に、どう対応するかには触れない。一時期女性に人気があったという首相の

写真と、ばくぜんとしたで美辞麗句で、情緒に訴え、国民に抵抗感のある政策は隠す。選挙で勝ったら次

の選挙までの間に、議会の多数に物を言わせて、隠していたほんとうにやりたいことをやってしまうつも

りらしい。

 それでも、負担と福祉のバランスについて、あいまい表現の陰に隠されたホンネを探す努力をしてみよ

う。「消費税を含む税体系の抜本的改革」は消費税値上げの婉曲な予告だろう。すでに財源の地方移転の

名目で地方税が大幅に値上げされていて、国税の削減は実質その分を補っていないから、負担は増えてい

る。自治体に委ねられている介護・国保料金は、貧しい自治体ほど高い。これらの点の改善にはまったく

触れられていない。国民負担率が50%を超える北欧諸国ほどではないが、だんだん40%に近づく可能

性がある。

 給付のほうでは、すでに生活保護水準を下回っている国民年金給付の増額、住宅耐震化への助成、自然

災害被災者の住宅再建支援、医学生看護学生の増員、失業給付金や教育費の公的負担の増額など、福祉

の実質的改善への言及はない。ほとんど連日新聞などで報道されている、生活保護・介護・障害保障など

から締め出される人の増加への対策は示されていない。育児支援については、3歳未満に対する1万円の

給付を誇っていて、これで十分ということか。現実に進行している福祉の低下を認める記述も、改善する

意図も示されていないのだから、安倍政権のホンネは低福祉と思うしかない。

 パンフ全ページに「成長を実感に!」とあるように、全体として低福祉と高負担で確保した公的資金

を、自衛隊海外派遣・軍備拡大と企業活動の促進などに当てる意図が、透けて見える。高度成長期には民

間経済活動の活発化が勤労者の生活水準を引き上げる効果を生んだ。それは当時の政府の福祉拡大策や強

労働組合があってのことだ。現在はちがう。残業の自由化、非正規労働の増加、労働者保護の弱体化な

どが進み、現政権はそれを阻む政治をしていない。所得格差の拡大・中間層縮小の傾向が顕著な時期に福

祉が低下する。企業利益は金融資産の利子配当と経営者所得増加に回り、働く人のくらしは全体としては

貧しくなる。生活に余裕がないから労働力市場の流動化が進まない。低福祉下の成長路線は、やがて経済

基盤を掘り崩す。高福祉で経済競争力を世界一にしたフィンランドとは、逆方向である。