ワラビだらけの大草原  自然との共棲

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 知床リップさんはご存知だと思いますが、知床ネーチャーセンターからフレベの滝に至る自然探索路沿

いの草原は、ワラビの大群生地ですよね。はじめて見る方は写真の緑のうち、森以外はほとんどワラビだ

と想像できましたか。大きくなったものも若いものもあります。

 同行者の一人がおいしそうな何本か摘んで、巡察員のような方にしかられました。「国立公園だから歩

道を外れるのも、採集も禁止だ」と。彼女が摘んだのは、わたしが「オホーツクの森では山菜採りのやり

方が掲示してあって、採集が禁じられていなかった、」などと話していて、ここでの禁止を知らなかった

せいです。

 わたしも内地の登山道なら一切手を出したりしません。北海道でも希少な高山植物を掘っていく人には

腹が立ちます。だけど知床の公園区域内で、あちこちに藪で山菜を取っているらしく、停めてある地元の

車を見かけました。採っても採っても採りつくせないような豊富な山菜も、国立公園内だから一律に手を

出させないというのは、自然との共棲になるのでしょうか。これこれの訳でこの場所では採らないでくだ

さい、と言われたのなら、すなおに納得できましたでしょうに。

 たしかに、一切採取を認めてはならない場所や種はあります。でも場所によっては、再生を妨げない範

囲で、マナーを守る山菜取りを認めるほうが自然との交感が深まるということもあります。オホーツクの

森はそういう考えで管理しているのでしょう。「国立公園だから歩道から一歩も出ず、ただ見るだけ」で

は、地元のくらしと縁のない単なる観光客にしかなれません。人数を制限したり、管理料をとったりは

必要な場合もあるでしょうが、自分で採取して、料理して、味わうような、体験のできる区域を作ってほ

しいと思います。大人数でごった返して、自然が荒らされてしまう内地の公園管理思想を、機械的に北海

道に適用するのが正しいのかどうか。ちなみに、自然との共棲が進んでいるフィンランドでは、土地所有

権に関係なく森に入って、ベリーやきのこを採取する権利が万人に認められている、と聞きました。