芽生え 温暖化 3

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第一部
 家の庭に何かの芽が出ていました。隣の人にたずねたら、チューリップだそうです。ここの売主の人が掘り出さずにいたのが、雪解けを感じて顔をのぞかせたのでしょう。春を待ちわびるわたしを、もうすぐだよと、励ましてくれるような。

第二部 温暖化 3
 〔温暖化の暴走を阻止する〕
 アメリカのブッシュ大統領は当初、温暖化による被害に否定的な同国の少数の科学者の見解を根拠に、温暖化対策に消極的だった。その彼の政府も、「気候変動はまさに起きており、それには人間活動が起因している」と、昨年のG8サミットでは認めざるを得なかった。いまや温暖化の危険性は、世界中でほとんどの指導者が認識している。課題は有効な対策に合意を形成すること。今年3月の世界気象機関の発表によれば、04年の二酸化炭素の世界平均濃度は377.1 ppmで過去最高、日本は場所によって380.1から382.5 ppmで、やはり過去最高だった。急がなければならない。
 気温を産業革命前に比べ1.5度以下の上昇に抑えることは、すでに不可能になったと考えられており、EU環境理事会は2度以下の上昇に抑える目標で合意している。そのためには化石燃料消費で排出される二酸化炭素の量を、現在の半分にする。1996年のWRI(世界資源研究所)の数字だが、アメリカ人一人当たりの二酸化炭素排出量はアフガニスタン人の約337倍、日本人は同じく159倍である。途上国に50%減を求めることは無理だ。先進国が60~ 80%削減しなければならない。欧州各国は2050年までの次のような削減を、国家目標として確定した。ドイツとオランダは80%、フランスは75%、イギリスは60%、スウェーデンは50%。日本は国としての目標を決定していない。
 アイスランドは20年前に火力発電廃止を決定し、今では全ての電力が地熱と水力でまかなわれている。この電力で作った水素燃料で、30年後には、車でも完全な脱化石燃料を実現する計画だ。すでに3台の燃料電池バスが運行されている。アイスランドは人口が日本の中都市くらいだから小回りが利き、火山国だから地熱に恵まれている、だからこんなことができる、日本では無理だ。こんな声がどこかから聞こえてきそうだ。そうだろうか。   
 小さな村でも大きな国でも、入り組んだ利害の対立があることは同じ。メディアが発達した現在では、領域の広さはたいした問題ではない。錯綜する利害や意見を調整し集約する、民主的なシステムが機能しているかどうかだ。火山はアイスランドほどではなくても、日本には森林という豊富なバイオマスも、降り注ぐ太陽の光もある。四方を海に囲まれ、風も潮もエネルギー源になる。欠けているのは、20年後、50後を見据えた国家戦略だ。
〔次回は日本の温暖化対策推進の足枷になっているものを考えます〕