日本はもともと離婚大国 だった
シ、スズメ。最後のはハクセキレイ?
なんとなくもともと日本は離婚の少ない国のような気がしていましたが、この思い込みを訂正させられ
る新聞記事を見ました。昨日の朝日be面(磯田道史)です。江戸時代には武士も庶民も、4割かそれ以上
の人が離婚していて、離婚した妻もすぐに再婚したそうです。家政婦として雇ったり雇われたりする感覚
だったみたい。それに、性関係についても実際は、「貞節」意識による縛りはあまりきつくなかったので
しょうね。統計のある国では、明治半ばまで日本は世界一の離婚大国だった、とありました。
欧米、特に北欧で、性の自由化が進み、離婚も増えていて、遅ればせに日本もその後追いをしている、
そんな印象がありました。だけど江戸時代までの文学作品を考えてみれば、表向き儒教精神でがちがちで
も、実際の男女関係ではけっこうおおらかだったのかもしれません。むしろキリスト教に、子孫を残す義
務以外でのlove-makingの享受、特に女性が楽しむことを悪として、人々の意識の奥に深い傷を残してき
た歴史があります。最近ようやくその呪縛が緩んで、対となる二人の心が尊重されるようになったとい
うことでしょう。
天皇への庶民感情や「愛国心」もそうですが、「古きよき日本の伝統」とされていることのなかには、
実は明治以降に歴代の政治支配者が人為的に導入して、学校や軍隊で人々に暴力的に刷り込んだ規範意識
が多いようです。いま保守的な政治家・経営者・法律家が、夫婦別姓や離婚後の子どもの籍などの改革に
後ろ向きなのも、「愛国心」や「伝統」の教育にこだわるのも、人為的につくられた倫理観が、父、夫、
政治・経済の強者に専制支配を許した時代が、懐かしくてたまらないからでしょうね。