ふきのとう すばらしい進歩

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 昨日3時過ぎに散歩しました。三月の陽に誘われて歩き出し川風寒く鼻がびしびし

               土手道に今年初めてふきのとう薄雪残る枯れ草の下

ふきのとうはこれから作る味噌汁に散らして早春の香りを味わいます。藻琴山がきれいに見えていたので

また撮りました。風に流されながら上空に舞っていたのはオオワシでしょうか。最後の一枚は3月20日

に流氷館の展望台から見た雪の網走港です。海上に白く見えているのは流氷の名残かもしれません。


〔すばらしい進歩〕

 1日1ドル以下でくらす貧窮者の数が、01年までの20年間で、約6億2千万人減少した国がありま

す。お隣の中国です。これだけ短期間に国民の半数近くが極貧状態を脱するというすばらしい進歩は、他

に例があるのでしょうか。それなのにわたしたちの耳に、この成功をすなおに讃える声はほとんど届きま

せん。なぜでしょうか。

 わたしたちが無意識のうちに、だれかの成功はだれかの犠牲を意味するという、ゼロサムゲーム思考に

とらわれているからではないかと思います。中国急成長の犠牲者はだれなのか。あの国でまだ取り残され

ている17%の人々 ? アジアのリーダーの地位を脅かされている日本 ? それとも乏しい化石燃料を奪わ

れ、環境負荷が増える先進諸国 ? こういう視点からの中国論なら、掃いて捨てるほどあります。

 わたしは、ジェフリー・サックスの『貧困の終焉』(以前紹介したことがあります)で、ゼロサムゲーム

の考えを捨てました。だれかを犠牲にしなくても、経済成長により世界から絶対的貧困を一掃できるのだ

と信じるようになりました。だから、500年の停滞を脱する中国のすばらしい再出発に、すなおに感嘆

できます。ゼロサムゲーム思考の蔓延は、イギリス・アメリカ発の、経済成長のために犠牲はやむをえな

いとする新自由主義経済思想が、小泉・安倍両政権とその周辺の経済人・経済学者・ジャーナリストによ

って鼓吹され続けた結果でしょう。サックスが言うように、途上国や新興国が豊かになっても、先進諸国

が貧しくなるわけではありません。そして第二部で論じたように、高度社会保障と経済活力を両立させる

ことも可能なのです。

 もちろん中国もさまざまな問題を抱えています。沿岸部と内陸部・都市と農村の所得格差、エネルギ

ー・水・環境問題、党官僚の専制と腐敗、言論と政治行動の自由の制約などです。これらの問題で苦しむ

人々に、これからよくなるのだからいまは耐えよと、言うつもりはありません。身近にそういう人がいた

ら、できるものなら彼らの力になりたいと思います。でも、だからと言って、中国の目覚ましい躍進にケ

チをつける気にはなりません。

 資源・環境問題はグローバルな課題です。途上国や新興国の国民を貧困の中にとどめることによってで

はなく、新エネルギー開発、循環型経済の建設によって、解決すべきです。先進諸国の協力があれば、中

国の問題解決もより効果的になります。所得格差や政治制度については、求められれば協力しても、国と

国との関係では、内政干渉を慎まなくてはなりません。言論弾圧の被害者や難民には、民間の個人が中心

になってできるだけの支援をしたいものです。そして個人の言論では中国に向けても、更なる経済発展の

ためにも、政治的自由が欠かせないと主張し続けましょう。

 軍事的脅威を強調したり民族主義をあおったりして、対中国関係を悪化させるのは、日本の国益にも反

します。まず、ここ20年のすばらしい進歩をすなおに賞賛し、敬意を表するべきです。その上で、資

源・環境問題解決と経済成長のための互恵的な提携強化を提案する。敬意と協力で友好関係が確立すれ

ば、民族的・軍事的対抗意識も薄れます。