名残のダイヤモンド・ダスト

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 季節を少し巻き戻して、未掲載のダイヤモンド・ダストです。

 サイタマンさん、お久しぶり。マイクル・クライトンの小説『恐怖の存在』が環境テロをテーマにして

います。環境保護運動で自分たちの組織の存在感を高めようと、巨大な気象災害を人工的に仕組むエコ・

テロリストと、それを阻止しようとする人たちの戦いが縦糸で、クライトンの持論である反人為温暖化論

が横糸になっています。過激な環境保護団体が、彼らが環境破壊の元凶とみなす人々への抗議としておこ

なう、非合法な暴力行為が環境テロと呼ばれています。現実には大規模な環境テロが企てられたことはな

いと思います。でも、小規模なものだと、何年か前にいくつか報道されたのを見た記憶があります。



 ここ数十年で地球の過去に関する科学的知識が飛躍的に増加して、巨大な天変地異が繰り返されて現在

に至っていることがわかってきました。ほとんどは地球物理や地球外からの力によるものです。ひとつだ

け確実に生物起源と言えるのは、あまり酸素のなかった地球大気に、何億年かのシアノバクテリアの活動

で、大量の酸素が送り込まれたことです。酸素はそれまで繁栄していた嫌気生物には猛毒です。彼らはほ

とんど絶滅し、残ったごく少数が深海底の熱水噴出孔付近で細々と生き延びました。

 やがて氷河期が来ることも、いつか地球外の天体が地球に衝突することも、大陸がひとつに集り分裂す

るときに激烈な気候変動が起きることも、地磁気の反転が起きることも、すべて人為と関係なく、まず確

実におきる自然現象です。そのたびに生物種の大絶滅と新しい進化が起きるでしょう。亡きS.J.グールド

は、地球にヒトのような知的生命体が現れたことは、無数の偶然が積み重なった結果だ、地球生物がバク

テリアから再出発することになった場合、知的生命体が進化してくる確率はばかばかしいほど小さい、と

書いていました。

 彼とちがう考えの学者もいますが、発達した意識をもつ生命が希少で貴重なことに間違いはありませ

ん。地球の自然に身をゆだねただけでは、ヒトが生き延びられないことは確かです。わたしたちの種が存

続すべきだとすれば、わたしたちが工夫を重ねて変っていくしかありません。