明るい未来

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第一部

 年明け早々たくさんの人が写真を見に来てくれてうれしいです。コメントを下さった方々、ありがとう

ございました。励みになります。しばらくは雪の結晶と樹氷の二点セットを続けます。


 「明るい未来」というような言葉は、皆さんに違和感を与えるのではないかと思います。最近の世相

に、ヒトや日本の未来に懸念を感じさせる材料が多くなっているからでしょう。わたしが若かったころ

は、新年というと新聞に華やかな未来予測が特集されたものでした。いまは今後の重い課題が特集です。

 へそ曲がりのわたしは、世の趨勢に逆らうのが好きです。今日は、昔の新聞の新春特集にならって、明

るい未来への展望を、第二部として載せます。これは、『フィンランド・・・・』のリライトを進めるなか

で、「生産の情報化」の項を付け足すために書いていて気づいた、ヒト文明の可能性についての考察から

の抜粋です。

第二部   ヒト文明の未来に関する断章

 ジェフリー・サックス歴史認識にならえば、約200年前に、モノ作りでは手作業から機械生産へ

の、物流では荷車・帆船からトラック・動力船への、農耕ではスキ・クワからトラクターへの、変化がは

じまったと言えるだろう。これにより、動力機械がヒトや動物の筋力の代わりをするようになった。力持

ちの鍛冶屋、車夫・水夫、お百姓,牛馬の時代から、経験豊かで熟練技能をもつ職工、ドライバー・船

員・パイロット、農場主・農民の時代への移行である。約200年間で、人口増と労働生産性向上により

世界総生産(GWP)は49倍になったと、サックスは書いている。

 21世紀初頭の現在、すでに製造機械のロボット化と大型船の自動操縦は普及した。温度・光・二酸化

炭素・肥料をコンピュータ管理する工場的農業も、少しずつ実用化されている。道路輸送でも、埋設され

た情報網で車を自動操縦する研究が進む。機械による生産は、長期の経験と熟練した技(わざ)に支えられ

るところからはじまって、単純な操作技能でまかなえるところへ成熟した。自動制御(情報)システムが整

備されると、単純な操作技能員は少数ですむようになり、資金の調達・配分、需要の開拓とそれに応じた

生産調整、研究・開発、システムの監視・維持・改良などに当たる、知能労働者が多く求められるように

なる。現在の労働市場に見られる混乱は、熟練技能、単純技能、知能労働の三つが混在しながら重点の移

動が生じていることによる。

 文明が崩壊しない限り、生産の情報化は進む。機械とシステムに置き換え可能な労働は不要となり、人

ならではの知能や心配りや温かさを欠かせない領域は残り、拡張する。介護者の筋力は介護ロボットに置

き換えられても、障害者や高齢者と気持ちを通わせる介護者は必要である。見捨てられたものはサービス

産業の中で復活する。例えば、力と技を競うスポーツであり、馬の脚力を楽しむ競馬である。あるいは精

巧な手作りの美術品や装飾品である。

 生産の情報・サービス化は始まったばかりだ。その進展に伴い、今後労働生産性は爆発的に増加するだ

ろう。モノの生産に必要な労働時間は極度に減少し、余った時間は情報・サービスの生産と消費に充てら

れることになる。体を使うスポーツやリクリエーションだけでなく、知的な探求や美の鑑賞・創造の楽し

みも普及し、高度化するだろう。高度社会保障の普及したフィンランドにも残っていた、行き場のない個

人の心の苦しみも、ヒト文明がこの段階に進めば、いくらかは緩和されるにちがいない。