フィンランド・モデルは好きになれますか 14

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第一部
 今日の写真はまた庭に勝手に咲いた花です。アジサイ、ジャガイモ、月見草、それにスミレの順です。スミレはまだ咲き続けていますよ。月見草は庭ではなくて隣の空き地です。

第二部
 フィンランド・モデルは好きになれますか 14
2 フィンランド人の一生
(3) 大人への準備
〔大学とAMK〕
 フィンランドの高等教育機関は大学と高等職業学校(AMK)である。大学には学年がなく、学部間や大学院との垣根は緩やかで、160単位を取ると修士号がもらえ、10年以上かけてゆっくり修士号を取る人もいる()。標準的には、修士課程終了まで5年間である。大学はすべて国立で、総合大学10、工科大学と経済大学がそれぞれ3、芸術系が4、防衛大学1の、21校ある。30校のAMKは地方自治体と民間が設置者で、ほかに内務省管轄の警察学校がある。大学とAMKをあわせると、高等教育まで進む人の割合は71%になる。
 高等教育を受ける学生の経済環境について、1-(3)の記述をここに繰り返す。大学も高等職業学校も学費はかからない。親と別に住む学生は国から家賃の80%を助成され、18歳以後はそれとは別に月額250ユーロ(現在のレートだと約3万4千円)の奨学金を支給されるが、ともに返済は不要である。さらに月額220ユーロの奨学ローンは国が保証する。
 この国では親が子どもの学費を負担することはない。早ければ高校段階で、遅くても大学段階で子どもはたいてい親と別居して、基本的には生活費も自分でまかなう。18にもなって親がかりというのは、フィンランド人の常識では異常なようだ。高校からは、2ヵ月半の長い夏休みは労働の季節である。公務員も会社員も商店も1ヶ月くらいは夏休みがある。学生のアルバイトはその間の労働力不足を補うものとして、国の経済に組み込まれている()。
 子どもは高校あるいは大学を卒業して就職したときに社会人になるというより、ゆっくりと慣れながら徐々に自立していくのだろう。最終的な自立の時期は日本より早く、自立の程度もきっぱりしている印象である。国や教育機関は、早くから職業体験を義務化したり推奨したりして、この過程を意図的に推進している。日本は特定の年齢段階での進学や就職に外から強い圧力がかかる。フィンランドでは、在学中から自立の準備が進んでいて、自分の価値観によって多様な選択が可能になる。だから、総合学校終了後の進路はばらけていく。
 (この項終わり)