フィンランド・モデルは好きになれますか 10

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第一部
 一枚目の写真は小清水海岸、二枚目と三枚目はエゾキスゲが咲き乱れる小清水原生花園、四枚目は濤沸湖畔にあった展望牧舎木道のハマナスです。

第二部
      フィンランド・モデルは好きになれますか 10
2 フィンランド人の一生
(2) 学童期
 この項は主として資料Г鬚發箸暴颪。それ以外の資料によるときはその番号を付す。
 5歳または6歳からエシコウルで就学前教育が行われる。エシコウルはデイケアと同じ場所のことも多いが、時間やプログラムが保育とはちがう。保育は遊びが中心で家庭の育児を支援する。就学前教育では、集団生活のマナー、自分ですべきことを自分でする習慣、数やアルファベットなどを身につけ、学校生活の準備をする。親は子をエシコウルにやる義務はないが、無償でもあり、90%は通わせている。
 9年間の総合学校(義務教育)は6から8歳で始まる。日本の小・中学校にあたるが、各学年の標準的年齢は日本より1歳上である。親が望んで、エシコウル教師や心理カウンセラーの陳述書が得られれば、6歳から入学できる。だが希望する親は少ない。1年間の就学前教育で、教師と心理カウンセラーが子どもの成長の遅れに気がつき、親が同意すれば、もう一年準備期間(スタート教室)をおき、8歳で入学する。
 学校生活を早く始める子が優れていて遅い子には問題がある、という考え方はないようだ。親も教育者も、子ども一人ひとりの可能性を十分実現するのに最適な方法を選ぶのは当然と考える。遊び中心の時期が長いほうがいいと思う親もいる。障害があればできるだけ早く発見し、その子の障害に対応して社会で生きる能力を発達させるため、専門の教師が大量に養成されている。総合学校で学ぶより効果的と判断されれば、6歳から11年間の特別教育を受ける。
 OECDは00年から国際学力調査(PISA)を実施しているが、過去二回の発表で、学校間でも、家庭の経済的・社会的・文化的環境のちがう生徒間でも、フィンランドは最も学力格差が低かった。この国では「平等」は最優先の教育目標である。総合学校では、理解の不十分な生徒を放置することは平等に反するとみなされるから、必要に応じて別室での授業や補習授業が行われる。今まで補助授業は学校で自主的に行われていたが、06年から特別補助教師が制度化される。
 日本では能力別教育は差別につながるという声がある。義務教育期間にも成績評価が行われ、生徒も親もランクを意識せずにはいられないから、能力別クラスは優劣をあからさまにするのではないかと警戒される。フィンランドではむしろ修得不足を放置することが差別とみなされる。総合学校には成績をつける基準もテストでランクをつける仕組みもない () 。学校での目標は、将来の職業と社会生活で必要になる「学習スキル」の獲得である、教師も親も生徒もそう思っていれば、点数化するのは無意味だ。ただ、スキルを身につけ損なえば将来本人が不利になる。
 (この項続く)